修学旅行生ら477人を乗せた旅客船が16日午前、韓国南西部沖で沈没した。午後2時半現在、2人の死亡が確認され、約290人が行方不明となっており、大惨事に発展する懸念が出ている。

韓国政府当局は当初、368人が救助されたと発表したが、集計に手違いがあったとして、救助者数の再確認を急いでいる。

不明者は船体の中に閉じ込められている恐れもあるが、救出作業に加わった民間の船舶などに救助され、把握できていない生存者がある可能性もある。

◇船首で「ドン」という音の後、傾く

16日午前8時58分ごろ、南西部の全羅南道珍島郡の屏風島北20キロ沖海上で、仁川から済州島に向かっていた6825トン級の旅客船「SEWOL(セウォル)」が何らかの原因で浸水し、救助を要請した。

旅客船は船首で「ドン」という音がした後、左舷が傾きはじめ約2時間後には完全に沈没した。

旅客船には修学旅行中だった京畿道・安山の高校生325人、引率教師15人、一般客と乗務員ら計477人が乗船していたほか、150台余りの車両ものっていた。

中央災難(災害)安全本部によると、午後2時半現在の生存者は180人。乗務員1人と高校生1人が死亡し、7人が負傷、約290人は安否不明となっている。

◇救助に総力

事故現場には海洋警察や海軍の警備艇、民間漁船など計90隻と11台のヘリコプターが動員され、救助作業を実施している。海軍特殊部隊の隊員ら約180人が捜索に加わっている。また、米強襲揚陸艦も投入される。政府は中央災難(災害)安全本部を立ち上げ、対応にあたっている。

◇生存者から「すぐに避難案内していれば」との声

救助された乗客の1人は、「『どん』と音がして、船が突然傾いた。船室3階の下には食堂、売店、娯楽室があったが、そこにいた人たちはほとんど出てくることができなかったと思う」と伝えた。

また「その場にそのままいろという放送があったが、水が入ってきて、そのままじっとしていられなかった。ライフジャケットを着て外に出てきて待機していた」とした上で、「すぐに避難案内をしていれば、良かったのに」と話した。

救助された修学旅行生の1人は「船内が水に入ってきているのに、放送ではじっとしていろとしか言わなかった。船が傾いて滑ったり落ちたりして、腰や脚をけがした人も多かった」と事故発生時の状況を伝えた。

修学旅行生は、船室から出る際に、待機案内のために動くべきか、とどまるべきか、とても紛らわしかったと涙声で伝えた。

乗務員の1人は「船が突然傾き、急いで避難した。避難するのに必死で、他の人が救助されたのか分からず、措置を取る余裕もなかった」と話した。

◇事故船は韓国最大規模の旅客船

旅客船は仁川と済州島を結ぶ6825トン級の定期便だ。

1994年に建造され、全長145メートル、幅22メートルで、国内で運航中の旅客船では最大規模となる。

乗客定員は921人で、車両180台、20フィートコンテナ152個を積載できる。客室や休憩室、コンビニ、食堂、ゲーム施設などを備えている。

昨年3月15日に運航を開始し、仁川-済州を週2往復している。 /聯合ニュース